北京オリンピック野球総括 ― 2008年08月23日 23時36分31秒
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北京オリンピック野球は、韓国が有終の美を飾って閉幕した。
韓国が優勝を決めた際に、放送の実況者が、「アジアの盟主、韓国」と叫んだ瞬間、WBCの優勝を決めてからオリンピックの予選まで、日本はアジアでは負けておらず、また、一昨年のアジア大会では、WBCのメンバーとほぼ同じ韓国チームを相手に、日本のアマチュア選手が勝利を収めたこともあって、アジアの盟主は日本だと信じ込んでいただけに、悔しさだけが込み上げて来た。
日本は残念ながら銅メダルさえ届かない厳しい現実を突きつけられたが、この結果に、準備不足だった感は拭えない。それは、選手のコンディション管理から、ボールの円周の違い、プレートアンパイアによってストライクゾーンが違う、などから露になったもので、とりわけ、ストライクゾーンの違いは、メンタリティに深く影響を及ぼす結果となり、ベンチワークへも焦燥感を生み出してしまった。
星野監督はこの結果にも、選手を擁護する発言をしていたが、私も選手はよくやっていたと、星野監督の発言に賛同したいと思う。
相変わらず一部のメディアは、「戦犯探し」など声高に謳っているが、選手、監督、チームスタッフには戦犯などはいなかったと思う。むしろ、NPB機構の日程や環境面でのサポートが得られず、組織が一体となれなかったことに、敗因があるのではないかと思う。そう思う一つに、この大会は、プロ野球シーズン真っ只中に行われるとあって、各チームの台所事情を汲んだ選考もあったと聞くが、そこで少しでもNPB機構のサポートが得られれば、コンディション不良で選出されることも極力減らせたのではないかと思う。
日本の結果は、本当に残念だったが、代表チームの監督、選手、スタッフに感謝し、労をねぎらいたいと思う。
一方で、韓国チームが果たした「全勝優勝」は、国内リーグ機構も全面でバックアップし、野球界が一体となって周到な準備がもたらしたものだった。それは、各球場のマウンドの高さを、国際試合ルールの最大25cmまでに統一し、また、国際試合で使用されるボールと同じ規格のボールを国内リーグで導入し、さらに、ストライクゾーンは、左右が狭く上下を広くとるジャッジに統一するなどした、国際大会に照準を合わせた「戦略」でもあった。オリンピックで優勝する「戦略」を周到に準備し、技術とパワー、加えて「兵役期間短縮」といった大きなモチベーションのプラス材料を持ち合わせていたことで、韓国の優勝はオリンピック前から決していたかもしれない。
日本人として、野球経験がある者として、アジアの盟主の座を明け渡したことは屈辱的なことだが、日本は、試合で勝つ技術や体力、戦術を持ち合わせていても、「戦略」は持ち合わせていなかった。それに対し、韓国チームはまさしく王者に相応しい結果を残した。今は素直に韓国チームに「おめでとう」と言いたい。
日本はこの悔しさを乗り越え、次回オリンピックで晴らして欲しいと思うものだが、残念ながら次回オリンピックに野球競技は採用されないことが決まっており、当分はリベンジの機会を与えられないまま、燻り続けるしかない。しかしながら、WBCの日本の優勝に続き、オリンピックでも同じアジアの韓国が優勝を飾ったことは、その強さを世界中に知らしめたと同時に、アジアのレベルの高さを再認識させたことで、野球が再びオリンピックの正式種目の条件となる、「メジャーリーガーの参加」に、MLB機構が重い腰を上げるくらいの衝撃を与えるかもしれず、次々回のオリンピックに野球が正式種目で採用される弾みになるかもしれない。
ともあれ、国の威信を賭けた戦いは、オリンピックだけではない。来年には、メジャーリーガーも参戦する、WBCが予定されている。 前回は、MLB機構の主催で行われた大会で、様々な波紋を呼びながらも、日本が優勝を果たすことができたが、二連覇することは相当に困難だろう。メンタリティの強い韓国には相当な苦戦が予想されるし、打撃が良いキューバ、そして前回苦杯を嘗めたメジャーリーガーを擁する米国は、最大の敵となって立ちはだかるだろう。連覇する為には、全ての野球機構が一体となって準備をする必要があるだろう。そして、大会そのものを価値あるものにする為には、ストライクゾーンの統一と、国際審判の育成が必要不可欠だろう。
星野監督の試合後の会見で、こんなコメントがあった。
「日本の野球はこんなもんじゃないと。日本のファンに、このレベルじゃないということは、今後彼らが必ず見せてくれるはずだと信じています。こんなチームではありません。」
狐につままれた今回のオリンピック。私も含め、誰もがこの程度の実力でないことはわかっている。日本の野球の歴史は長いが、国際大会の出場はアマチュアから数えれば歴史が長いとは言えず、また、国際大会毎に経験が引き継がれず、リセットされてしまうふしがある。
これから日本が世界と対峙した時に真の実力を発揮するためには、驕らず、挑戦者の気持ちで挑むことを忘れないことが大事だろう。それにはまず、国際大会で頂点に立つ環境作りが最重要になってくるだろう。日本には最高の土壌があるわけだから、球界が一体となって環境作りを推し進めれば、アジアの盟主に返り咲き、世界の頂点を維持することは容易いことだろう。
今は、近い将来にそうなることを願って、このオリンピックの野球を締め括りたいと思う。
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北京オリンピック野球は、韓国が有終の美を飾って閉幕した。
韓国が優勝を決めた際に、放送の実況者が、「アジアの盟主、韓国」と叫んだ瞬間、WBCの優勝を決めてからオリンピックの予選まで、日本はアジアでは負けておらず、また、一昨年のアジア大会では、WBCのメンバーとほぼ同じ韓国チームを相手に、日本のアマチュア選手が勝利を収めたこともあって、アジアの盟主は日本だと信じ込んでいただけに、悔しさだけが込み上げて来た。
日本は残念ながら銅メダルさえ届かない厳しい現実を突きつけられたが、この結果に、準備不足だった感は拭えない。それは、選手のコンディション管理から、ボールの円周の違い、プレートアンパイアによってストライクゾーンが違う、などから露になったもので、とりわけ、ストライクゾーンの違いは、メンタリティに深く影響を及ぼす結果となり、ベンチワークへも焦燥感を生み出してしまった。
星野監督はこの結果にも、選手を擁護する発言をしていたが、私も選手はよくやっていたと、星野監督の発言に賛同したいと思う。
相変わらず一部のメディアは、「戦犯探し」など声高に謳っているが、選手、監督、チームスタッフには戦犯などはいなかったと思う。むしろ、NPB機構の日程や環境面でのサポートが得られず、組織が一体となれなかったことに、敗因があるのではないかと思う。そう思う一つに、この大会は、プロ野球シーズン真っ只中に行われるとあって、各チームの台所事情を汲んだ選考もあったと聞くが、そこで少しでもNPB機構のサポートが得られれば、コンディション不良で選出されることも極力減らせたのではないかと思う。
日本の結果は、本当に残念だったが、代表チームの監督、選手、スタッフに感謝し、労をねぎらいたいと思う。
一方で、韓国チームが果たした「全勝優勝」は、国内リーグ機構も全面でバックアップし、野球界が一体となって周到な準備がもたらしたものだった。それは、各球場のマウンドの高さを、国際試合ルールの最大25cmまでに統一し、また、国際試合で使用されるボールと同じ規格のボールを国内リーグで導入し、さらに、ストライクゾーンは、左右が狭く上下を広くとるジャッジに統一するなどした、国際大会に照準を合わせた「戦略」でもあった。オリンピックで優勝する「戦略」を周到に準備し、技術とパワー、加えて「兵役期間短縮」といった大きなモチベーションのプラス材料を持ち合わせていたことで、韓国の優勝はオリンピック前から決していたかもしれない。
日本人として、野球経験がある者として、アジアの盟主の座を明け渡したことは屈辱的なことだが、日本は、試合で勝つ技術や体力、戦術を持ち合わせていても、「戦略」は持ち合わせていなかった。それに対し、韓国チームはまさしく王者に相応しい結果を残した。今は素直に韓国チームに「おめでとう」と言いたい。
日本はこの悔しさを乗り越え、次回オリンピックで晴らして欲しいと思うものだが、残念ながら次回オリンピックに野球競技は採用されないことが決まっており、当分はリベンジの機会を与えられないまま、燻り続けるしかない。しかしながら、WBCの日本の優勝に続き、オリンピックでも同じアジアの韓国が優勝を飾ったことは、その強さを世界中に知らしめたと同時に、アジアのレベルの高さを再認識させたことで、野球が再びオリンピックの正式種目の条件となる、「メジャーリーガーの参加」に、MLB機構が重い腰を上げるくらいの衝撃を与えるかもしれず、次々回のオリンピックに野球が正式種目で採用される弾みになるかもしれない。
ともあれ、国の威信を賭けた戦いは、オリンピックだけではない。来年には、メジャーリーガーも参戦する、WBCが予定されている。 前回は、MLB機構の主催で行われた大会で、様々な波紋を呼びながらも、日本が優勝を果たすことができたが、二連覇することは相当に困難だろう。メンタリティの強い韓国には相当な苦戦が予想されるし、打撃が良いキューバ、そして前回苦杯を嘗めたメジャーリーガーを擁する米国は、最大の敵となって立ちはだかるだろう。連覇する為には、全ての野球機構が一体となって準備をする必要があるだろう。そして、大会そのものを価値あるものにする為には、ストライクゾーンの統一と、国際審判の育成が必要不可欠だろう。
星野監督の試合後の会見で、こんなコメントがあった。
「日本の野球はこんなもんじゃないと。日本のファンに、このレベルじゃないということは、今後彼らが必ず見せてくれるはずだと信じています。こんなチームではありません。」
狐につままれた今回のオリンピック。私も含め、誰もがこの程度の実力でないことはわかっている。日本の野球の歴史は長いが、国際大会の出場はアマチュアから数えれば歴史が長いとは言えず、また、国際大会毎に経験が引き継がれず、リセットされてしまうふしがある。
これから日本が世界と対峙した時に真の実力を発揮するためには、驕らず、挑戦者の気持ちで挑むことを忘れないことが大事だろう。それにはまず、国際大会で頂点に立つ環境作りが最重要になってくるだろう。日本には最高の土壌があるわけだから、球界が一体となって環境作りを推し進めれば、アジアの盟主に返り咲き、世界の頂点を維持することは容易いことだろう。
今は、近い将来にそうなることを願って、このオリンピックの野球を締め括りたいと思う。
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